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「永遠と今、日記。」

野良猫の写真や動画、その他、日々感じたことを書いてます。

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遠野物語第六夜 

 小槌の釜渡りの勘蔵という人が、カゲロウの山で小屋がけして泊まっていると、大嵐がして小屋の上に何かが飛んで来てとまって、あいあいと小屋の中へ声をかけた。勘蔵が返事をすると、あい東だか西だかとまた言った。どう返事をしてよいかわからぬのでしばらく考えていると、あいあい東だか西だかと、また木の上で問い返した。勘蔵は、なに東も西もあるもんかと言いざま二つ弾丸(だま)をこめて、声のする方を覗って打つと、ああという叫び声がして、沢鳴りの音をさせて落ちて行くものがあった。その翌日行ってみたが何のあともなかったそうである。何でも明治二十四、五年の頃のことだという。
遠野 秋_convert_20091002003733
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category: 遠野物語

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遠野物語第五夜 

 遠野の町に芳公馬鹿(よしこうばか)とて三十五、六なる男、白痴にて一昨年まで生きてありき。この男の癖は路上にて木の切れ塵などを拾ひ、これを捻りてつくづくと見つめまたこれを嗅ぐことなり。人の家に行きては柱などをこすりてその手を嗅ぎ、何物にても眼の先まで取り上げ、にこにことして折々これを嗅ぐなり。この男往来をあるきながら急に立ちどまり、石などを拾ひ上げてこれをあたりの人家に打ち付け、けたたましく火事だと叫ぶことあり。かくすればその晩か次の日か物を投げ付けられたる家火を発せざることなし(必ず火事になった)。同じこと幾度となくあれば、後にはその家々も注意をして予防をなすといへども、つひに火事を免れたる家は一軒もなしといへり。
遠野の民家
(遠野郷の民家)

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遠野物語第四夜 

 金沢村は白望(しろみ)の麓、上閉伊郡(かみへいぐん)の内にてもことに山奥にて、人の往来する者少なし。六、七年前この村より栃内村の山崎なる某かかが家に娘の婿を取りたり。この婿実家に行かんとして山路に迷ひ、またこのマヨヒガに行き当たりぬ。家の有様、牛馬鶏の多きこと、花の紅白に咲きたりしことなど、すべて前の話の通りなり。同じく玄関に入りしに、膳腕を取り出したる室あり。座敷に鉄瓶の湯たぎりて、今まさに茶を煮んとするところのやうに見え、どこか便所などのあたりに人が立ちてあるやうにも思はれたり。茫然として後にはだんだん恐ろしくなり、引き返してつひに小国(をぐに)の村里に出でたり。
 小国にてはこの話を聞きて実(まこと)とする者もなかりしが、山崎の方にてはそはマヨヒガなるべし、行きて膳椀の類を持ち来たり長者にならんとて、婿殿を先に立てて人あまたこれを求めて山の奥に入り、ここに門ありきといふ処に来たれども、眼にかかるものもなくむなしく帰り来たりぬ。その婿もつひに金持になりたりといふことを聞かず。
南部ばやし07_convert_20090929085453
(遠野市南部ばやし)

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遠野物語第三夜 

 小国(をぐに)の三浦某といふは村一の金持なり。今より二、三代前の主人、まだ家は貧しくして、妻は少しく魯鈍(ろどん)なりき。この妻ある日門の前を流るる小さき川に沿ひて蕗(ふき)を採りに入りしに、よき物少なければしだいに谷奥深く登りたり。さてふと見れば立派なる黒き門の家あり。いぶかしけれど門の中に入りて見るに、大なる庭にて紅白の花一面に咲き鶏多く遊べり。その庭を裏の方へ廻れば、牛小屋ありて牛多くをり、馬舎ありて馬多くをれども、いっかうに人はおらず。つひに玄関より上りたるに、その次の間には朱と黒との膳椀(ぜんわん)をあまた取り出したり。奥の座敷には火鉢ありて鉄瓶の湯のたぎれるを見たり。されどもつひに人影なければ、もしや山男の家ではないかと急に恐ろしくなり、駆け出して家に帰りたり。
 この事を人に語れども実(まこと)と思ふ者もなかりしが、またある日わが家のカドに出でて物を洗ひてありしに、川上より赤き椀一つ流れて来たり。あまり美しければ拾ひ上げたれど、これを食器に用ゐたらば汚しと人に叱られんかと思ひ、ケセネギツの中に置きてケセネ(穀物)を量る器となしたり。しかるにこの器にて量り始めてより、いつまで経ちてもケセネ尽きず。家の者もこれを怪しみて女に問ひたるとき、始めて川上より拾ひ上げし由をば語りぬ。この家はこれより幸福に向かひ、つひに今の三浦家となれり。遠野にては山中の不思議なる家をマヨヒガといふ。マヨヒガに行き当たる者は、必ずその家の内の什器家畜何にてもあれ持ち出でて来べきものなり。その人に授けんがためにかかる家をば見するなり。女が無慾にて何物をも盗み来ざりしがゆゑに、この椀みづから流れて来たりしなるべしといへり。
ポスター小

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神隠し 

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 遠野郷にては豪農のことを今でも長者といふ。青笹村大字糠前(ぬかのまえ)の長者の娘、ふと物に取り隠されて年久しくなりしに、同じ村の何某といふ猟師、ある日山に入りて一人の女に遭ふ。恐ろしくなりてこれを撃たんとせしに、何をぢではないか、ぶつなといふ。驚きてよく見れば、かの長者がまな娘なり。何ゆゑこんな処にはゐるぞと問へば、ある物に取られて今はその妻となれり。子もあまた生みたれど、すべて夫が食ひ尽くして一人このごとく在り。おのれはこの地に一生涯を送ることなるべし。人にも言ふな。御身も危ふければ疾く(とく)帰れといふままに、その在所をも問い明らめずして逃げ帰れりといふ。(糠前は糠の森の前にある村なり。糠の森は諸国の糠塚と同じ。遠野郷にも糠森糠塚多くあり)
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